映画で有名になったデロリアンDMC-12

デロリアンDMC-12

デロリアンとは

デロリアン・モーター・カンパニー

デロリアンDMC-12を製造していたメーカーは、デロリアン・モーター・カンパニーというアメリカの会社。ゼネラルモーターズの副社長を務めていたジョン・デロリアンが独立し、設立した会社です。デロリアンというのは創業者の名前なんですね。トヨタとかスズキ、ホンダみたいな感じです。

余談ですが他にも創業者の名を冠した自動車メーカーとしては、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、プジョー、フォード、ダイムラーなどたくさんあります。

そんなデロリアン・モーター・カンパニー、略してDMCですが僅か7年で倒産。その間に世に送り出した車は、このDMC-12だけでした。

映画バック・トゥ・ザ・フューチャーで有名

1985年にアメリカで公開された映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の劇中でタイムマシンに改造されたベース車両が、このデロリアンDMC-12でした。アメリカで高い評価を受けたこの作品は日本でも公開され大ヒットとなりました。その後も幾度となく地上波で放映されたので、あまり車に興味の無い人でもデロリアンという名前は知っている人は多いでしょう。

デロリアンDMC-12の魅力

デロリアンDMC-12

ステンレス製ボディ

一般的に車のボディはスチール製ですが、デロリアンDMC-12のボディはステンレス製。しかしすべてステンレスかというとそうではありません。スチール製フレームにFRPのボディシェルがあり、そこにステンレス製のパネルを装着する構造。しかしステンレスは非常に硬く加工が難しいため、新車の時点でパネル間のチリが合ってないこともザラだったとか。

そもそもなぜデロリアンDMC-12は加工の難しいステンレスを採用したのか。それはひとえにメンテナンスフリーを狙ったため。車の塗装というのはバリエーションの表現として当たり前になっていますが、本来の目的はボディを錆から守ること。塗装が剥がれた部分を放置すると、そこから錆びてくることを考えれば理解できると思います。

しかしステンレスは錆びにくい金属。絶対に錆びないという訳ではありませんがその性質から塗装を施す必要がなく、デロリアンDMC-12のボディは塗装されていません。

ボディにステンレスを採用した車はデロリアンDMC-12くらいのもので、他は聞いたことがありません。非常に硬く複雑な曲線のプレス加工に向かないため、おそらく今後もステンレス製ボディの車は滅多なことでは出てこないでしょう。

ガルウィングドア

デロリアンDMC-12のドアは上に向かって開くガルウィングドア。大衆的な車にこのタイプのドアが採用されることは、まずありません。同じように上に向かって開くタイプではバタフライドアやシザーズドアなどありますが、共通することは大衆車では見かけないこと。

要するにドアが上に向かって開くのは、特別なことだということ。

エンジンと駆動方式

デロリアンDMC-12のエンジンはV型6気筒SOHC 2,849ccで130馬力ほど。現在の車と比較すると目も当てられないほど非力ですが、1号車がラインオフした1981年1月ではこんなものだったのでしょう。そしてそのエンジンをリアに積み、リアタイヤを駆動するRR(リアエンジンリアドライブ)レイアウトになっています。

このRRという駆動方式は実用車では軽貨物車やバスなどでありますが、いわゆる乗用車での採用例はそう多くありません。古くはスバル360やフォルクスワーゲン・ビートルなどがありましたが、現在の車でRRの代表格といえばポルシェでしょう。

個性の塊みたいな車

世にも珍しいステンレス製ボディ、まるでスーパーカーのようなガルウィングドア、そしてリアエンジンリアドライブという駆動方式、そしてとどめは劇中で時を超えるタイムマシンになったこと。これほど個性の塊みたいな車が他にあるでしょうか?私が知る限りでは思いつきません。

この個性の塊こそがデロリアンDMC-12の魅力に他ならないと考えます。そしてこの個性の塊とも言うべきDMC-12、未だかつて公道を走っている姿を見たことがありません。一度くらいはその姿を公道で見てみたいものです。

デロリアンDMC-12のスペック

諸元表

エンジンZMJ-159G型
最高出力/最大トルク130PS/5,500rpm
排気量2,849cc
全長4,267mm
全幅1,988mm
全高1,140mm
車両重量1,233kg
販売台数約9,000台