いつもより遠くへ行きたい、ただそれだけで岩手まで泊まりのドライブ。どうせ行くなら、記憶に残るあの寿司をもう一度。一泊二日で大舟渡、そして思いがけず旨いドラめしに出会うことができました。
思いを馳せるは海の幸 遥けし彼方 大舟渡
日も昇らぬ早朝、まだ夜と言っても良いかもしれない時間に自宅を出て、東北自動車道を北へと走るBMW。安積PAまで来たところで腹が減ってきました。このとき時計の針が指すのは午前7時半、そりゃ腹も減るわけですな。
フードコートのメニューとにらめっこし、喜多方らーめん餃子セットに決めました。いわゆる朝ラーってやつですな。朝食にラーメンを食べたのは初めての気がしますが、これ意外といいかも。喜多方らーめんはあっさりとした醤油味なので、朝から食べてもわりと平気でした。
菅生SAで見つけたデカい栗饅頭、これは自宅へ持ち帰り妻が平らげました。道の駅米山で買った大福は、その場で食べましたが甘さ控えめで旨かった。
本日はあちこち走り回る余裕はありません。適当に道の駅をチェックポイント代わりにつなぎ、大舟渡を目指して北へと向かいます。高速道路を降りたころから天気が不安定になり、雨が降ったりやんだり。雨の中をドライブすることが大嫌いな私、本当ならこんな日は自宅に引きこもっていたいくらい。
それでも明日は天気が回復する予報なので、今日くらいは我慢。いくつか立ち寄った道の駅は、当然ほぼ知らないところ。土産物などを物色すると見たことないものが多く、なかなかに新鮮な気分。やはり普段行かないところへ行くのは刺激になって良いですね。
大舟渡へ向かって東磐井広域農道から県道10号を結び北上したのですが、予想を上回るほど交通量がありません。このあたりで雨も小康状態となり、快適にBMWのドライブを楽しめるようになってきました。ただし快適に走れる以外は特になにもなく、景色が良い訳でもない。
そして国道397号へ出て少し行ったところにある、道の駅種山が原にBMWを滑り込ませます。
BMWを駐車場に停めるとほぼ同時に、再び降り出す雨。まったくもって鬱陶しいことこの上ないが、気を取り直しお土産コーナーへ向かう。残念ながら購入意欲を刺激するものはなかったが、気になったのが食堂のカツサンド。
限定30食、賞味期限30分、こんなこと書かれちゃ気にならない訳ありません。しかし時計の針を確認すると現在15時過ぎ、限定30食が残っているかどうか・・。店員さんに確認するとまだあるとのことなので、それなら試さない手はないと即オーダー。
10分ほど待たされましたが、その価値はありました。「ありすポーク」というブランド豚らしいのですが、一口食ってびっくり!柔らかくてすげぇ旨い。カツサンドでこれだけ旨いのだから、ぜひ一度トンカツで食って見たいと思うほど。なかなかインパクトのある旨さでした。
ここまで来れば宿まで距離はありません。さっさとチェックインし夕飯の調達に向かいます。数年前に同じ宿に宿泊したとき、近所のスーパーマーケットで購入した寿司が旨かったのです。今回もまた同じスーパーで寿司を買ってきました。やはり漁港が近いせいか、とてもスーパーで買える代物とは思えない旨さ。
ちゃんとした寿司屋に入ればもっと旨いものが食えるのでしょうが、あえて地元のスーパーで購入するのも面白いもんです。その寿司は記憶と違わぬ旨さで、次に来たときも同じものを食うことでしょう。
翌朝一番にチェックアウト。予報通り朝から快晴、今日は快適なドライブが楽しめそうでテンションMAX。ホテルの駐車場を出て国道45号を南へ向かう。この時間はまだ交通量もほぼゼロで、眩しい朝日を浴びつつクルマもドライバーもウォーミングアップ。
この周辺はかつて東日本大震災のときに、津波によって大きな被害を被った地。いまでは復興が進み、その当時の姿を残すのは震災遺構のみ。私は震災の少し後、仕事でこの場所ではありませんが被災地を訪れています。そのときに見た光景は忘れることができません。
津波で破壊された建物を目の当たりにしたとき、衝撃のあまり言葉がでませんでした。このときの記憶は、きっと生涯忘れることはないでしょう。また、そこから復興した被災地の人たちの苦労を思うと、頭が下がる思いです。
かつての記憶に思いを馳せつつ、BMWは国道343号を西へと走る。走りを楽しめるワインディングではありませんが、整備された2車線路は交通量も少なく、移動するためのクルージングとしては快適そのもの。安全運転かつマイペースで走り、道の駅みずさわへピットイン。
そこで目に付いたのは、メジャーリーガー大谷翔平選手と思しき顔出しパネル。なんでこんなものが?と思ったら、どうやらここは大谷選手の出身地らしい。そしてその後も国道をトレースしていくと、大谷選手の母校らしき小学校が。大谷選手を応援する横断幕が掲げられていたのですが、後輩に当る小学生たちも地元の人たちにとっても誇りなのでしょう。
そして水沢の市街を抜け、目指すは奥州湖。ここは胆沢ダムによってできた人造湖ですが、天然だろうが人造だろうが私には関係ありません。静かな雰囲気で景色が良ければなんでもいい。市街地を抜け山間部へ近づくにつれて、目に見えて減るクルマの数。気が付くと周囲には誰もおらず、快適にBMWをドライブできています。
この奥州湖にはかつてここに存在した、石淵ダムが沈んでいるそうです。より大きなダムが必要になり胆沢ダムを建設したことによって、湖に沈んでしまったのだとか。集落が沈むというのは良くある話ですが、まさかダムの底に別のダムが沈んでいるとは・・。
栗駒焼石ほっとラインへシフト。暫く湖沿いを走り、とても良い景色を楽しむことができます。ところどころ駐車スペースが設けられていて、そこでクルマから降りてみると空気が清々しい。BMWの外気温計は10℃を表示していますが、日の当る場所では寒さは感じません。
栗駒焼石ほっとラインは奥州湖を離れ、木々の間を縫うように伸びていく。中速・高速のコーナーが続き軽いブレーキングでクルマの向きを変え、コーナーの出口に向かってアクセルON。こんなに良い道なのに他にクルマの姿はなく、思う存分BMWの走りを味わうことができ楽しいことこのうえない。
栗駒焼石ほっとラインを駆け抜けた先は、国道342号線。あとはこの国道をトレースし、一関ICから高速へ乗って帰るつもり。そう考え国道を走っていると、不意に視界に飛び込んできたのはターコイズブルーに輝く川。そのすぐ先に駐車場があったので、電光石火のステアリング捌きでBMWを滑り込ませます。
道路脇の階段から降りて行ってみると、ここは矢櫃【やびつ】ダムという防災ダムのよう。ダムから流れ落ちる滝の轟音、振り返ると木々の間を流れるターコイズブルーの川。広大ではありませんが素晴らしい景色、偶然立ち寄っただけなのに得した気分。おまけに人がいないので穴場かも。
そろそろ腹が減ってきたので時間を確認すると、時計の針が指すのは午前11時。一関ICの手前に道の駅があるので、そこで何か食えるでしょう。そんな訳で立ち寄ったのが、道の駅厳美渓。
そして食堂目指してまっしぐら。幸いなことに今なら食堂は空いています。何を食おうかメニューに目をやると、土日限定のチャーシュー麺とな?「黄金こめ豚」のチャーシューを使用しているそうで、それに決めました。聞いたことない豚ですが、きっとこの地域のブランド豚なんでしょう、そう思うことにします。
で、そのチャーシューの味はというと、超旨ぇ!このチャーシュー麺は大当たりです。とろけるような柔らかさ、脂身も不快どころか甘みがあって旨い。それとサイドメニューとしてオーダーした、ねぎ飯も絶品。ねぎ大好き野郎としては外せません。
短い旅でしたが、カツサンド、お寿司、チャーシュー麺、ねぎ飯と当たりのドラめしを連続で引き当てました。これはまた来なくてはなりません。いつかまた再訪すると心に誓い、高速道路で自宅へと向かいます。
【走行距離】1138.9km
【ドラめし】ありすポークのカツサンド(道の駅種山ヶ原)
【ドラめし】黄金米ぶたのチャーシュー麺(道の駅厳美渓)
【ドラめし】ねぎめし(道の駅厳美渓)