この記事は旧ブログからの転載です
この記事は個人的な備忘録として、旧ブログの記事を転載したものです。
記事の内容は2016年10月9日のこと。
目を覚まし布団を出ると少々肌寒い。窓の外に目をやると、まだ薄暗い中でも雨脚が強いことが良く分かる。いつものツーリングならば早朝にチェックアウトするところだが、この天気ではどうにも気分が乗らない。たまにはゆっくりと出発するのもいいだろう。
軽く朝食を済ませ、ホテルの喫茶コーナーでゆっくりと珈琲でも飲むことにしようか。
窓の外は相変わらずの雨、チェックアウトしていく客もいないようで、駐車場のクルマが減る様子もない。珈琲を飲みつつまったりしてると、いつもより時間の流れが遅くなったような錯覚に陥る。妻が珈琲と一緒に頼んだケーキを一口もらう。甘くて美味しい。
時計の針が午前10時を指す頃には雨もすっかり上がり、ホテルのフロントはチェックアウトする宿泊客で混み始めている。
さて、それではそろろ出発しようか。
ホテルを出発し最初に向かうことにしたのは、磐梯吾妻スカイラン。
この道路は福島県と山形県の県境に近い吾妻連峰を走る山岳道路で、平成25年に無料開放されたかつての有料道路。有料だった頃は何度か走った事があるのですが、無料開放されてからは初めてとなる今回。
天気が良くないので多少の霧は覚悟していましたが、予想を大きく上回る白い闇。それでも通行止めとなっている訳ではないので、引き返す理由などない。
と言うわけで「磐梯吾妻スカイライン」へと突入した訳ですが、これがまた視界不良でなにも見えない・・・・・。それなのに交通量は多く、クルマの流れはノロノロと。一体なにしに来たのか分からない有様。対向車の流れも途切れることなく続き、景色も見えないのに皆さんホント何しに来てるんでしょうか。
浄土平まで来たところで有料駐車場にBMWを停め、車外へ出てみると寒い寒い!クルマの外気温計は9.0℃を表示していて、おまけに風が強いとくれば体感温度はまるで真冬。
冷たい空気を掻き分け売店へと逃げ込むと、そこはまるで別天地。暖房が効いていてポッカポカ。その暖かな売店の中をウロついていると、なにやら実演販売をしています。どうやら調味料のようで、それを豆腐にかけて試食としているようす。せっかくなのでひとつ頂くと、思わず目を見張る旨さ!
この瓶には出汁となる素材がいろいろ入っていて、市販の醤油を加えることで完成するとのこと。すっかり気に入ってしまった私は、迷うことなくお買い上げ。次は自宅で試してみよう。
浄土平を境にして、「磐梯吾妻スカイライン」の景色は一変。それまでは草木が生え緑豊かであったが、そこから先は緑のない荒野。植物の姿が見えないのは火山性ガスの仕業でしょうか。この辺りは車外に出るなとか、窓を閉めろとかの注意書きが路肩にあるほどで、それでも車内まで硫黄の臭いが入ってきます。
しかしそれも長くは続かず少し走れば硫黄の臭いも消え、景色も良くある緑のある状態へと変わって行きます。このような景色は他ではなかなかお目にかかることはできないので、一見の価値あるルートではないでしょうか。
濃霧の「磐梯吾妻スカイライン」を抜け平地へと降りたBMWは、県道5号「フルーツライン」を経由して国道399号を目指します。国道399号をトレースすれば、宮城県をかすめて山形県へと入れるはず。
しかしどうやら国道399号は災害のため通り抜けができず、途中から国道113号方面へと迂回しなければならない様子。通り抜け不可って訳ではないので、気にせず行くとしましょうか。
国道399号は綺麗に整備されている割には、どうにも交通量が少ない。いつもこうなのか、あるいは災害のせいで迂回しなければならないためか、なんにせよ交通量が少ないことは都合がよろしい。
とにかく交通量が少なく外の車両といえば、時々現れる対向車のみで、それも地元ナンバーの軽自動車ばかり。勝手な予測だが、おそらくこの近辺に住む地元の人達ではなかろうか。よそ者のナンバーをぶら下げた車両など、外には全く見当たらない。
どこまでも続く快適路。途中で登坂車線が現れる箇所もあったが、これほど交通量極少では必要性に甚だ疑問。このあたりから徐々に高度を上げ、山の中腹へと向かって伸びて行く国道。そして目の前で圧倒的なまでの威圧感を放っているのが、摺上川【すりかみがわ】ダムである。
岩石や土砂を積み上げて造られたロックフィルダムは、コンクリート製のダムとはまた違った迫力があります。それにしても、よくこれだけの岩石を積み上げたもんだと感心します。
ダム湖の畔にある駐車場には人の気配はなく、そこにあるのは静寂のみ。ときおり風が吹くと、木々のざわめきと波の音が聞こえる程度で、世界には自分しかいないような錯覚さえしてきます。
このような場所へ来るといつも思うのですが、このダム湖の下に沈んでしまった集落の人達は、どんな思いだったのだろう。
そんな経験をしたことのない私には、とても想像できない辛さがあったに違いないことでしょう。そういったダム建設の背景にまで思いを馳せると、ちょっとだけもの悲しい気持ちになったりします。
摺上川ダムを後にし国道399号のトレースを再開。相変わらず道幅が広い割に、交通量が皆無なのが気になるところ。
暫く静かなダム湖に沿うように、国道399号は伸びてゆく。広い道幅、交通量皆無、沿道になにもない・・・・今まであまり見た事、感じたことのない気配。いくら途中で迂回が必要とは言え、あまりにも交通量が少なすぎやしませんかねぇ。
そんな事を考えながらBMWを走らせていると、ダム湖の終わる頃、急にリアル1車線の道幅に!そこから先は離合困難な超隘路。
狭いうえに見通しも悪く、ブラインドコーナーの向こうから対向車が来ないか細心の注意を払い、ドライブしなければなりません。更に迂回路となっている稲子峠も、負けず劣らずの超隘路。
こりゃクルマが来るはずない訳だ・・・・。知ってりゃこんなとこ通りませんって。
狭く薄暗い道を暫く走り、ようやく国道113号へと出て一安心♪その国道を山形方面へと向かうと、それはもう快適。やっぱ国道は、こうでなくちゃいけませんな。フロントガラスにポツポツと雨粒がつき始め、ぐずつく天気。
まだ雨は弱く、ワイパーも間欠程度に動かしながら国道113号を行きますが、あまり面白みのないルート。快適で走りやすいが交通量もそれなりで、地図を開くと先ほどまでの国道399号とほぼ平行に走っているので、福島~山形間のメインルートなんだろうと思われます。
交通の流れに乗り国道113号を行くと、見えてきたのは「道の駅 たかはた」
時間はすでに15時を指していますが、そういえば昼食をまだ食っていません。いい加減、腹も減ってきたので、遅い昼食にしようとレストランへと直行。
さすがに中途半端な時間だけあって、他の客は殆どいません。おまけに食事のラストオーダーが15時半とのことで、滑り込みセーフってとこでしょうか。
空いている席に着いてメニューを開き、写真が美味しそうな豚丼をオーダー。出てきた豚丼はやはり美味しそうで、一口食べると自分の選択が間違いでなかったと確信します。
米は山形産の「つや姫」を使用しているとのことで、産地で食べる米は旨く、肉も甘めの味付けが絶妙で米と良く合っています。本日も飛込みで適当に食った豚丼、こいつは非常に旨くドラ飯の逸品として私の記憶に刻まれることとなりました。
食事が終わった頃に再び雨が降り始め、暫くお土産コーナーなどを物色した後、本日はもう宿へと向かうことに決めました。
17時過ぎには宿へと着いたところでトリップメーターを確認すると、本日の走行距離がわずかに150kmだけ・・・・。
一日の走行距離がたったのこれだけとは、私としてはあり得ない短さ。本日は天候に恵まれず、出発が遅くなったことが大きかったのでしょうが、まさかこんだけしか走らないとは予想外。距離を走ればいいってもんではないですが、もう少し距離を走りたかったような気もします。
さて、今夜はゆっくりと休むとしましょうか。
明日は晴れるといいなぁ・・・・・。