なぜ免許取得に年齢制限があるのか
運転免許を取得するには原付・オートバイで16歳以上、普通車では18歳以上と年齢制限がありますが、上限年齢は設けられていません。
取得に年齢制限がある理由は明示されていませんが、自動車を運転するうえでの責任能力や判断力などを加味した結果、制限を設けたと考えられます。16歳と18歳という年齢が適切かどうかはともかく、年齢制限があること自体は合理的といえるでしょう。他の国でも運転免許の取得可能年齢が16歳や18歳が多いところをみると、概ねそのあたりが妥当と考えられます。
下限があるなら上限もあってしかるべき
免許取得に年齢制限があるならば、更新に年齢制限があってもおかしな話ではないはず。人間は加齢によって様々な機能や能力が衰えます。自動車の運転に必要な瞬時の判断力、視力や空間認識能力だって衰えます。原因が老化であっても自動車を運転するだけの能力を満たしていないのであれば、判断力や責任能力が未熟な年少者と変わるところがありません。
ある程度の年齢に達しないと自動車を運転する能力が足りないというのであれば、加齢によって運動機能や判断力が低下することにより、運転免許が失効することは自然な考えです。実際、高齢者の運転ミスによる悲惨な事故は連日のようにメディアで報道されていますが、これは自動車を運転するだけの能力を満たしていないドライバーが、自動車を運転しているという証拠ではないでしょうか。
免許更新時に制限を
繰り返しますが、人間は加齢によって様々な機能や能力が衰えます、未熟なうちは取得を制限するにもかかわらず、加齢で衰えても更新に制限がないとはおかしなこと。やはり更新にも年齢制限を設けるか、試験に合格しなければ更新できないようにするべきなのです。
このような議論になると、決まって地方では自動車がないと生活できないという話になりますが、その高齢者のために悲惨な事故が起こっていることも考える必要があります。
対策を考えてみる
単純に高齢者の運転免許更新に制限を設けると、前述のように地方では生活が成り立たなくなる人が出てくることでしょう。そこでいくつか対策を考えてみたいと思います。
- 高齢者はMT車のみ運転可能とする
- 高齢者用の自動車に速度リミッターを装備し、一定以上の速度が出ないようにする
- 高齢者用の自動車はアクセルを一定以上踏み込むと、ブレーキが作動するようにする
高齢者はMT者のみ運転可能とする
近年は一部のスポーツタイプを除き、あまり見ることのなくなったMT車。AT車しか運転したことのないドライバーは分からないかもしれませんが、MT車はシフト操作を誤るとエンジンが停止してしまいます。発進の際には繊細なクラッチワークが要求されるので、高齢者が操作を誤ったときに車が停止することが期待できます。もっとも、そのためにメーカーがMT車を用意するかというと難しいかもしれません。
速度リミッターを装備し一定以上の速度が出ないようにする
高齢者用の自動車には、例えば30km/h程度を上限に速度リミッターを装備し、それ以上の速度が出ないようにするのはどうでしょう。30km/hを超えると対歩行者の事故のとき、死亡率が上昇するという話もあります。現実問題として、高齢者の運転する自動車が全部30km/hで走っていたら、交通の流れを阻害してしまいます。しかし、悲惨な事故が起きるよりマシと考えることもできるでしょう。
アクセルを一定以上踏み込むとブレーキが作動するようにする
高齢者の事故で多いのが、アクセルとブレーキの踏み間違い。本人はブレーキを踏んでいるつもりでも、実際はアクセルを踏んでしまって自動車が暴走するというもの。例えば、アクセル開度が50%を超えたらブレーキが作動するようにすれば、踏み間違いによる事故も減らせるのではないでしょうか。
昔の自動車はアクセルワイヤーがペダルから延びていたので困難でしたが、昨今は電子制御スロットルに変わっています。技術的にはそう難しくはないと考えられます。
高齢ドライバーにはそれなりの責任を
人間誰しも年を取ります。年齢を重ねるごとに体の機能が衰え、若い頃のように運転することができなるなるでしょう。しかし自動車という機械は、老若男女関係なく同じように操作すれば同じように動きます。足腰が弱っていても判断力が衰えていても、アクセルを踏めば若いドライバーと同じだけの速度がでるのです。しかし体の機能が衰えた高齢ドライバーが若い人と同じ速度で走るということは、それだけでより危険であると言えるのです。
体の機能が衰えることは誰しも分かっていることなので、それを承知で運転するのであれば相応の責任を負わせるべきです。その責任を明確にするために、高齢ドライバーの事故や違反はより重くするべきと考えます。こうすることにより高齢ドライバーの自覚を促し、ひいては運転免許の自主返納を促すことに繋がるかもしれません。