運転免許取得のハードルが低すぎる これでは事故は無くならない

運転免許は国家資格

そもそも運転免許とは

運転免許を取得するためには、実技試験と学科試験を合格しなければなりません。つまり運転免許とは「自動車を運転するために必要な技量と知識を備えた者」に対して与えられる国家資格です。この資格を持っていれば、日本国内の公道で自動車を運転して良いという許可証になるわけです。

運転免許の保有人口

運転免許の保有人口は2019年のデータで約8,200万人、全人口の75%ほどになります。全人口ということは、運転免許を持たない高齢者や免許取得年齢に達しない若年層も含まれるため、現役世代のほとんどが保有していると考えて良いでしょう。実際皆さんの周りでも、運転免許を持っていない人は希だと思います。

免許取得の難易度が低い

運転免許は金で買ってるようなもの

クルマは走る凶器と良く言われますが、本当にその通りだと思います。それほど危険な機械であるが故に、許可証たる運転免許を有しない者の運転が禁じられているわけです。そして運転免許は、その危険なクルマを運転するだけの技術と知識を持った者にだけ与えられるはずなのですが、先述のとおり現役世代の殆どが保有しており、自動車教習所に通いさえすれば誰でも取得できるのが現実。試験に合格する必要があるとはいえ、その試験のハードルが低くほぼ誰でも取得できる現状は金で買っているのと大差ありません。

クルマというものは軽自動車ですら7~900kg以上もあり、普通車ではゆうに1,000kg以上はある鉄の塊。そんなものを安全に走らせることが、誰にでもできることなのでしょうか?

AT限定はドライバーのレベルを下げる

普通自動車運転免許にはオートマチック車のみ運転可能なAT限定、一般的にオートマ限定と呼ばれるものがあります。これの存在が、ドライバーのレベル低下に拍車を掛けていると言えるでしょう。

普通自動車の99%がAT車と言われている現在、そもそもMT車を用意している車種は非常に少ないのが現実。一部のスポーツタイプを除き、営業用のバンやトラックさえもAT車が主流になっています。

このような現状からAT限定免許の需要があり、それに応える形で用意されているのだと思います。またMT車は教習車しか乗ったことがないというドライバーも少なくないという現状を考えれば、始めからAT限定で取得することも合理的といえるでしょう。しかし、それと安全運転は別。

AT車はアクセルとブレーキの2ペダルしかありません、これでは遊園地のゴーカートと変わらない。MT車の運転には、アクセルやクラッチなどのペダルワークに繊細さが要求され、わずかなミスでエンジンが停止してしまいます。しかしAT車は基本的にエンストすることはなく、アクセルペダルさえ踏めば走り出し勝手にシフトアップして加速してくれます。

イージードライブはAT車の最大の利点ですが、そのイージーさがなければクルマを運転できないような人は、そもそも適性がないと理解すべき。

免許保持者の中にはMT車がうまく運転できず、AT限定でなんとか試験に合格した人も少なくない。これがドライバー全体のレベルを下げる原因の一つであると考えれば、やはりAT限定など無くすべき。少なくともAT限定でなければ試験に合格しないような人には、運転免許を与えるべきではないと思っています。

免許を与えるに値しないドライバーは少なくない

メディアの報道を見ていると、飲酒運転や煽り運転などの救いようのない事故、逆走や携帯電話による脇見運転など、毎日のように起こっています。先述のとおり運転免許はクルマを運転する技術と知識のある者にだけ与えられるはず。しかしこのような危険な運転をするドライバーが、技術はともかく必要な知識があるようには思えません。知識というのは道路交通法を知っているだけでなく、クルマの危険性も知っているということですが、そのようなドライバーがクルマの危険性を承知していると言えるのでしょうか?

そもそも使い方を誤れば大変な事故を起こすような危険な機械であるクルマを、大半の人が扱えることがおかしいのです。

事故が減らない原因は免許取得が簡単だから

適性のある者にのみ与えよ

ひとくちに国家資格といっても難易度はピンキリで、簡単に取得できる資格もあります。フォークリフトなどがそうで、数日間の講習で誰でも簡単に取得することができます。フォークリフトだっていい加減に扱えば大きな事故につながりますが、基本的に敷地内しか走らないし、大した速度もでません。しかしクルマは歩行者や自転車と同じ公道を速い速度で走るため、接触しただけで大事故になりかねず、実際に小学生の列に酒気帯びのクルマが突っ込む事故も発生しています。

このような事故が起きるのは当然ドライバーの責任なのですが、そもそもクルマを運転する能力が足りていないことが原因です。悲惨な事故を減らすには運転免許の取得難易度を上げ、本当の意味で技術と知識を持った人にだけ与えるべきなのです。

免許取得のハードルを上げ保有人口を減らすというと、公共交通機関のない地方では生活できないという意見がでることでしょう。しかし交通事故で失われる命にかえることはできません。

もう少し免許取得の難易度を上げるか、飲酒運転などの悪質な違反をした者には再取得を禁止するなどの処置が必要であると考えます。