少し前の話になりますが、新型(G80)M3を試乗する機会がありました。乗ってみた結果、中身というかドライブフィールは大変良かったのですが、どうにもあのフロントマスクを受け入れることができません。そうなると気になってくるのが、同じ3シリーズをベースとしたALPINA D3。そんな話を担当のセールスマンにしたところ、なんと今度はALPINA D3に試乗する機会を設けてくれました。
こんな機会はあまりないので、今回も二つ返事で試乗してきました。
ALPINA D3は直列6気筒ディーゼルターボ
ALPINA D3は、現在の愛車である BMW 320d と同じくディーゼルエンジンを搭載しています。もっとも 320d は直列4気筒ターボで、ALPINA D3は直列6気筒ツインターボであり同一のエンジンというわけではありません。
ALPINA D3に搭載される3000cc直列6気筒ディーゼルツインターボは、最高出力355馬力、最大トルク730Nmもあります。比較として我が愛車 BMW 320d は400Nmで、三菱ふそうの中型トラックは最大トルクが520Nmとのことなので、中型トラックよりトルクがあるってことになります。
トラックとは単純に比較できないものの、それでも車両重量を考えればとんでもないことのように思えます。
また走行中もディーゼルエンジンとは思えないほど静かで、言われないと気が付かないほど。ただ個人的にはディーゼルエンジンの音も嫌いではないので、もう少し音が聞こえても良かったと思います。
内装は安定の3シリーズそのまま
内装はステアリング中央のエンブレムやメーター、ダッシュボードの材質など細部の違いこあそれ、乗りなれた3シリーズそのものです。また今まではパドルの代わりにスイッチトロニックだったのが、このモデルからパドルも選択できるようになりました。
スイッチトロニックについては、ボタンを押した感触が良くないと聞いていたので一度試して見たかったのですが、とりあえずパドルの感触は良好でした。またパドルのデザインも、BMW純正よりカッコイイと思います。
実際に運転してみた感想
通常の試乗であればディーラーの近所を一回りするだけなのですが、今回は高速道路も試すことができました。
ディーラーの駐車場を出て高速のインターまでは渋滞気味。以前から聞いていたとおり、ALPINAのセッティングはMモデルより紳士的で、低速では路面のギャップなど無いかのようにスムーズ。エンジン音もかなり静かで、低回転から太いトルクを発生させる直6ディーゼルは、渋滞も苦になりません。
BMWのエンジンがベースとなっているからか、それともALPINAの技術力か、気持ちよく吹け上がってくれるご機嫌なエンジン。アクセルを強めに踏んでみると、速度計の針がこれまた気持ちよく跳ね上がり、周囲のクルマを置き去りにする強烈な加速を見せてくれました。それもM3のように豪快な加速をするのではなく、あくまで静かで紳士的に。
ちょいと刺激が足りないか?
ALPINA D3は間違いなく良いクルマです。乗り心地は良いし、加速も良し。ディーゼルエンジンなので、燃費だって悪くありません。ちょいとお値段がお高めなのを除けば、文句の付けようがないくらい。こう書くと欠点がないように思えますが、私的には刺激が足りないことが欠点と言えば欠点。
間違いなく速い車なのですが、体感的にはそれほど加速しているように感じない。でもメーターの針は勢いよく上がっていく。これがALPINA本来のセッティングで、従来のユーザーはこの点に魅力を感じALPINA車に乗っているとのこと。それも分からなくはないのですが、やはり個人的には刺激が欲しい。もっと暴力的な加速を味わいたい。どうしてもそのように思ってしまう自分がいます。
結論としては、ALPINA D3は見送りです。とても良い車なのは分かりましたが、もう少し年齢を重ねてからでも良いと思いました。