飛騨高山エリアはとても魅力的で、何度行っても飽きることがありません。今回は贅沢な時間を過ごすことを目的に、いつもより良い宿に宿泊。クルマを走らせるより宿に滞在することが目的だったので、あまり走り回ってはいません。
大人の隠れ家で 打てよ舌鼓 飛騨の味に魅せられて
空は一面が灰色で、見渡す限りの曇り空。予報では回復するはずの天候も、朝の時点ではそうでもない様子。普段のドライブであれば天候は非常に重要ですが、今回に限ればそうではありません。なぜなら今回はBMWを走らせるというよりも、いつもよりお高い宿で贅沢な時間を過ごすことが目的なのであります。
それでも宿へ直行などという選択肢など、あろうはずがない。行き帰りの行程では、せっかくなので駆け抜ける歓びを味わわないとモッタイナイ。
中央自動車道 伊那ICから国道361号「権兵衛トンネル」を抜けて、飛騨高山エリアへ向かうことにする。暫くすると空の機嫌が良くなってきたようで、雲の隙間から青空が見えてきました。これはきっと、日頃の行いが良いからに違いない。
そうとなれば以前から走ってみたい道があったので、そちらへ向けてステアリングを取り舵いっぱーい。
御岳湖に沿って伸びる県道256号を爆走し、大滝村の集落を抜け山へと上っていく。御岳山へ向かう県道は急激に高度を上げ、空へと向かって伸びていく。とにかく急峻なヒルクライムだが、そこは3,000cc直列6気筒エンジンをボンネットの下に収めるM340、急な傾斜をものともしません。
それにしても、先ほどから空模様がおかしい。日頃の行いの良さから天気は回復したはずですが、御岳スカイラインを駆け上がるに従い天候は悪化の一途。そしてついに降り始めた雨、そして霧まで濃くなりもはや視界不良のひと言。これでは思うようなペースで走ることもできない。このままでは状況は悪くなるばかりであろうと判断し、引き返すことに決めました。
スキー場の駐車場で転回し来た道を戻るさなか、御岳スカイラインの急勾配を再確認させられました。なんというか、傾斜は同じでも下りの方が急に感じるのです。こんな道、積雪や凍結する冬なんか怖くて走れませんって。
御岳スカイラインは1,200mの標高差を一気に駆け上がるそうなので、その勾配もさることながら終点の駐車場から見える景色も期待していました。残念ながらその景色を拝むことはできませんでしたが、天気が良ければ景色も良いだろうことは確信できました。いつか必ず走りに来ると心に誓い、飛騨高山へ向けてBMWのアクセルを踏みつけます。
天気も回復し他のクルマに邪魔されることのない快適ドライブが続き、とてもご機嫌なドライバー。しかし先ほどから腹の虫が鳴き出し、こちらはご機嫌ナナメのよう。ありていに言うと腹が減りました。
しかし県道20号から国道361号と結んで来ましたが、飲食店が見当たりません。私の記憶が確かなら、国道沿いに数軒の蕎麦屋があったはずですが見当たりません。どうやら県道20号で来ることで、それらの蕎麦屋をパスしてしまったよう。と思ったら1軒だけありました。初めて入る店ですが、飛び込んでみましょう。
昼食の時刻だというのに駐車場にはクルマの姿がなく、店内にもお客の姿はありません。この瞬間不安が頭をよぎりましたが、入ってしまった以上はしかたない。そして、ざる蕎麦の大盛りをオーダー。
提供された蕎麦を食ってみた感想は、一瞬でも不安に思ったことを謝りたい。蕎麦も旨いのですが、特筆すべきはお漬物。決して主役ではありませんが、自家製と思われ妻と二人で舌鼓。主役を差し置き脇役に注目してしまい申し訳ないのですが、本当に旨かったんですよお漬物が。
そしてチェックイン可能な15時頃に、高山市内の宿に到着。いつもどおり駐車場では係りの人が待っていてくれて、「青いBMWですぐに分かりました」と笑顔で出迎えてくれます。
過去にも何度か利用しているので、顧客情報の履歴があるのは当然。青いBMWは3台乗り継いでいますが、M340で来たのは初めてです。どうやら車が変わったことまでは、気が付かないようで・・。
ここへ来るときは露天風呂付きの部屋と決めています。部屋へ入るなり服を脱ぎ捨て露天風呂へダイブ!普段はあまり温泉に入ることがない私。温泉は嫌いではないのですが、公衆浴場が大嫌い。よって部屋に付いていないと、まず入ることはないのです。
そしていよいよ最大の楽しみである夕食の時間になったのですが、今回は贅沢に部屋食です。仲居さんは手慣れたもので、テキパキと手際よくあっという間に準備完了。以前は二人で同じコースでしたが、今回は飛騨牛のステーキとしゃぶしゃをそれぞれ選択。せっかくなので、シェアして両方とも味わってやろうという魂胆です。
アルコールが苦手な私は食前酒の代りに、リンゴのジュースを頂きます。わずかにとろみのあるジュースは見るからに濃厚で、私の苦手な酸味がなく飲みやすい。そして料理を頂くのですが、どれも素材が生きていて舌鼓の連続。それでもやはり特筆すべきは岐阜県が誇るブランド牛、飛騨牛でしょう。
ステーキは厚みがあるのに柔らかくて旨かったのですが、私はしゃぶしゃぶの方がお気に入り。軽く湯がいた飛騨牛が、ほのかに赤く染まったら食べ頃です。そのまま口へ運ぶと、全身を幸福の衝撃波が駆け巡る。肉自体が持つ僅かな甘み、なんと言っても口の中で溶けるように消えて行く飛騨牛。
こんなに旨い肉があっていいのだろうか、何度食っても飽きることがない、それが飛騨牛。そしてもう一つはコースには含まれていないため、追加でオーダーした飛騨牛の握り。妻は私が指摘するまで忘れていたようですが、食べずに帰ってしまっては後悔するに決まっています。この飛騨牛握りは適度な厚みがあるけど柔らかく、初めて口にしたときはその旨さのため、雷に打たれたような衝撃でした。
翌朝の食事も部屋食。ビジネスホテルのようにバイキング形式は好きなものを好きなだけ食えるので、それはそれで嫌いではありません。しかし贅沢という点に関しては、部屋食以上のものはない。
この日の朝食は和食、というより洋食はたぶん出ません。飛騨の郷土料理である朴葉味噌や焼き魚など、どれも旨いものばかり。特に白飯が旨かったことが印象的か。朝からこれでもかと言うほど食ってしまい、今からお昼が食えるか心配になるほど。
朝から満腹となったあとは部屋でのんびり。チェックアウトの時間ギリギリまで滞在し、贅沢な時間を堪能し尽くします。
大人の隠れ家的な宿で贅沢な時間を過ごして大満足。走り出したBMWのミラーには、こちらが見えなくなるまで手を振る仲居さんの姿が映っていました。部屋もサービスも良く料理も旨い、たまの贅沢にはとても良い宿だと思います。
昨日来た道を戻るのは面白くない。よって遠回りを承知で北へ向かい、北陸道を経由して帰ることにします。最寄りは中部縦貫道の高山ICですが、当然そんなところはスルー。富山方面へ北上するクルマの大半は国道41号を行くようですが、私は国道360号の方がお気に入り。
なぜならこちらは交通量が非常に少なく、なにより景色がとても良いのです。国道は川沿いに伸び、緑豊かな山に囲まれ空は広い。私の記憶では初めて飛騨を訪れたときに走ったルート、それから私にとって飛騨高山のイメージはこの景色なのです。
周囲にクルマの姿がない国道をのんびり走っていると、いずれ国道41号にぶつかります。ここから先は富山方面へ向かう主要なルート。交通量も多くなるので、景色を眺めるのんびりちんたらドライブはここまでになります。
クルマの流れに乗り国道41号を行くと、北陸自動車道 富山ICが見えてきます。ここから高速道路に入って、あとは自宅へ帰るだけ。今回はドライブに来たというより、いつもより良い宿で贅沢な時間を過ごすことが目的。その目的は充分に達したので、ここから先はクルコンまかせで帰るとしましょう。
帰りの道すがら、関越自動車道 塩沢石打SAに寄ったときのこと。そろそろ夕食の時間ではありますが、どうにも空腹感がありません。それなら食わなくてもいいかと思ったところ、「にんにく香る焼き肉定食」のポスターが目に飛び込んできたのです。するとなぜか急激に腹が減り、コイツを食わずにいられなくなってしまいます。
コイツは旨い!やはりにんにく料理はいいですねぇ。今回のドラめしはこれに決まり。
前半は天気に恵まれませんでしたが宿では贅沢な時間を過ごし、大変に満足できる旅でした。