歴史に残る名車:スカイライン2000GT-R

ハコスカGT-R

ハコスカGT-R

車好きな人はもとよりそうでない人も名前くらいは聞いたことがあるであろう、日産自動車のスカイラインGT-R。初代GT-Rである、通称ハコスカGT-Rはすでに50年以上昔の車ですが、個人的に好きな車種でもあります。

50年以上の歴史を持つスカイラインというクルマは、今でこそ日産の看板車種となっていますが、もともとはプリンス自動車というメーカーが開発したものでした。

1957年にプリンス自動車(当時は富士精密工業)の主力車種として生産が開始されたのが始まりで、1966年にプリンス自動車が日産自動車に吸収合併されて以降、日産の看板車種となりました。しかし、トップグレードである「GT-R」は、この頃はまだラインナップにはありませんでした。

スカイライン2000GT-Rには、レース用エンジンをデチューンしたS20型が搭載されていました。ベースとなったのは、プリンス自動車が開発したレース用エンジンGR8型で、これを元に再設計を行い市販車で使えるよう出力を下げたエンジンです。

初代GT-R(PGC10型)の販売が始まったのは、1969年2月のこと。現在では初代GT-Rと言えば、クーペボディにオーバーフェンダーを装着している車両をイメージしますが、当初は何の変哲も無い普通のセダンにハイパワーエンジンを搭載していました。そのおとなしい外見からは想像もつかない獰猛なエンジンを搭載していることから、有名なキャッチフレーズ「羊の皮を被った狼」と呼ばれたのです。

ちなみにこのフレーズが使われたのは初代GT-Rではありません。プリンス自動車がレースで勝つため、1.5L直列4気筒のスカイラインに、グロリアの2.0L直列6気筒のエンジンを詰め込みました。その結果、当時最先端だったポルシェの前をわずか一周だけでも走ったことから、このフレーズが使われはじめたのです。

発売当初はおとなしいセダンボディにハイパワーエンジンを搭載し、まさに羊の皮を被った狼でした。1970年10月にマイナーチェンジを受け、後期型はセダンボディから2ドアハードトップのクーペボディへ変更。このマイナーチェンジで、2ドアのオーバーフェンダー仕様となりました。令和の今、当時をリアルタイムで知らない世代は初代スカイラインGT-Rというと、こちらをイメージする人が多数派でしょう。

ハコスカGT-R

ハコスカを始め旧車には、RSワタナベのエイトスポークが良く似合うと思います。この画像で履いているホイールが、そのエイトスポークです。特にリアの深リムなんて良いと思いませんか?

ここで昔お世話になっていた車屋の親父さんから聞いた話をひとつ。

初代GT-Rのトランスミッションは、精度が今とは比べものにならない程に悪く、低回転の時は問題ないが、中回転くらいになるとシフトノブが暴れて掴めなくなったとか。さらに回転を上げ高回転までいくと、逆に落ち着いて普通にシフトチェンジができたそうです。シフトノブが暴れるなら手を離さず掴みっぱなしにすればと聞くと、それは手を弾かれるほど激しく暴れるので無理だったとか。

その親父さんは初代GT-Rが活躍していた時代にモータースポーツに携わっていた人でした。面白い人でしたが、いい加減なところもあったので誇張もあるかも知れません。50年以上前の車ですから、あながちウソでもないのかなと思っています。

駆動方式後輪駆動
エンジン形式S20型(水冷直列6気筒DOHC4バルブ)
最高出量/最大トルク160hp/7,000rpm 18.0kg/5,600rpm
排気量1,989cc
全長4,395mm(PGC10型)
4,330mm(KPGC10型)
全幅1,610mm(PGC10型)
1,665mm(KPGC10型)
全高2,640mm(PGC10型)
2,570mm(KPGC10型)
車両重量1,120kg(PGC10型)
1,100kg(KPGC10型)
販売台数832台(PGC10型)
1,197台(KPGC10型)