30年経っても色あせない魅力 スカイラインGT-R(BNR32)

BNR32 スカイラインGT-R

スカイラインGT-Rとしては2代目となるKPGC110型が、1973年に僅か数ヶ月の販売期間のみで姿を消してから16年。その間に復活の噂はでるも実現することはなく、今か今かと待ち望むファンの前についに姿を見せた3代目スカイラインGT-R、それがBNR32型なのです。

エンジン型式RB26DETT

BNR32型GT-Rに搭載されたエンジンは、日産の主力エンジンの一翼を担ったRBエンジンのひとつ、2.6L直列6気筒DOHCツインターボであるRB26DETT型。

このエンジンは と言うより、BNR32型GT-R自体が当時の全日本ツーリングカー選手権で勝利するために開発されました。そのため、レースで戦うに於いてレギュレーションで最も有利と思われる排気量を求めた結果、2.6Lという市販車に於いては非常に中途半端な排気量となったのです。

フロントヘビーなスカイライン

このエンジンはBNR32型に始まり、BNR34型GT-Rまで搭載された日産の名機ですが、欠点もありました。一般的にエンジンブロックは軽量化のためアルミニウム製が多いのですが、このエンジンは強度を求め鋳鉄製で非常に重量がありました。アルミニウム製より丈夫で耐久性があるのはいいのですが、このエンジン重量は車両そのものがフロントヘビーになる原因となってしまっているのです。それを少しでも和らげようと、ボンネットやフェンダーがアルミニウムで作られていましたが、エンジンの重量を打ち消すことはできませんでした。

これはBNR32型GT-Rに限らず、RBエンジンを搭載したスカイライン全般に共通する特徴で、とにかくフロントが重たい車です。かつて私もGT-Rではありませんでしたが、R34スカイラインの4ドアに乗っていたことがあります。このときの印象は前が重い、です。特にコーナリングは顕著で、遠心力に負けてノーズが外に逃げたがる車だったと記憶しています。

BNR32型GT-Rの駆動方式

2代目までのGT-Rおよび通常グレードのスカイラインはフロントエンジンリヤドライブ、俗に言うFRという一般的な後輪駆動。しかしモータースポーツで勝利するために開発されたBNR32型GT-Rの駆動方式は、FRを基本構造とした四輪駆動でありました。

この四輪駆動システムは「ATTESA(アテーサ) E-TS」と呼ばれ、日産自動車が開発した電子制御トルクスプリット四輪駆動システムです。通常時は後輪のみを駆動しFR状態で走行することを基本としながら、後輪のスリップをシステムが検知すると前輪へもトルク配分を行い、最大で前後50:50の四輪駆動状態まで制御します。

これにより、FRの操縦性と四輪駆動の安定性の良いとこ取りを実現したと言えるでしょう。現在ではスタンバイ式四輪駆動と呼ばれる一般的なシステムですが、当時は画期的で国内外の自動車レースを席巻する活躍を見せてくれました。

完成されたデザイン

BNR32GT-R

発売から30年以上経過しているBNR32型GT-Rですが、その間に元号は平成から令和に代わりスカイラインは13代を数え、GT-RはR35型でスカイラインから独立し別の車種となりました。そう考えると隔世の感がありますね。

それら数々のスカイラインおよびGT-Rの中で、もっとも完成されたデザインがBNR32型GT-Rではないでしょうか。その人気の高さは、未だにモデルカーやプラモデルの新製品が発売され続けていることからも窺えます。

BNR32型GT-Rのスペック

エンジンRB26DETT(水冷直列6気筒ツインターボ)
最高出力/最大トルク280PS/6,800prm 37.5kgf・m/4,400rpm
排気量2,568cc
駆動方式フルタイム四輪駆動
全長4,670mm
全幅1,780mm
全高1,360mm
車両重量1,530kg
販売台数16,435台