高速道路で最低速度違反は危険

高速道路

日本列島を縦横無尽に走る高速道路、最高速度の上限は今まで100km/hでしたが東名高速と東北自動車道の一部で、制限速度の上限が引き上げられました。制限速度に関しては、高速道路には最低速度が決まっていることをご存じでしょうか?自動車教習所で教わるはずですが、忘れてしまっているドライバーも少なくないようです。

最低速度のこと忘れてませんか?

高速道路の最低速度は50km/h

自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

道路交通法第75条の四

日本国内において高速道路の最低速度が50km/hだということは、運転免許を持っている人ならご存じかと思います。それが明記されているのが、上記の道路交通法第75条の四です。ここには道路標識がある場合はそれに従い、ない場合は政令で定める最低速度と記されています。

法第75条の四の政令で定める最低速度は、五十キロメートル毎時とする

道路交通法施行令第27条の三

その最低速度を定めた政令が上記。これにより、高速自動車国道いわゆる高速道路の最低速度が50km/hと定められているわけです。高速道路において最低速度が定められている理由は、高速走行が前提の高速道路であまりに遅いクルマが走っていると、邪魔でもありますがなにより危険だということ。

クルマの運転において周囲の流れに乗った速度で走ることは、安全運転の基本と言えるでしょう。その流れを乱すような低速の車両が存在すると、追突事故などの原因となり周囲に様々な危険を及ぼします。

余談ですが、原動機付自転車いわゆる原付の制限速度が30km/hというのも、上記と同じ理由で危険な気がするのは、私だけではないと思います。

最低速度が適用されないこともある

対面通行区間は最低速度が適用されない

法第七十五条の四の政令で定めるものは、往復の方向にする通行が行われている本線車道で、本線車線が道路の構造上往復の方向別に分離されていないものとする。

道路交通法施行令第27条の二

道路交通法施行令第27条の二では、上記のように記されています。これはつまり中央分離帯などで分離されていない、対面通行の区間を除くという意味になります。

高速道路は中央分離帯が設けられ片側2車線以上が基本。しかし場所によっては暫定2車線区間などで対面通行になっているところがあります。このような場所は制限速度が70km/h程度に設定されていることが多いのですが、最低速度の規制もなくなるということです。

登坂車線も最低速度の適用外

先述の道路交通法第75条の四では、高速自動車国道の本線車道と定められています。急勾配などに良くある登坂車線は、本線車道に含まれないため最低速度が適用されないのです。

登坂車線は重量物を積載したトラックなど本線の流れに乗れない車両のためにあるもので、実際に50km/h未満の速度でやっと登っていくトラックなど、そう珍しいものでもありません。これを最低速度違反だというのであれば、トラックは高速道路を走れない。そもそも登坂車線が存在する意味もなくなってしまいます。

実際 私もトラックで登坂車線を走行中、教習車にブチ抜かれたこともあります。それほど荷物満載のトラックは失速してしまうのです。

坂の頂点で登坂車線が終わるのは勘弁して欲しい

高速道路の登坂車線は、坂を登り切った地点で終わってしまうことが少なくありません。これがトラックにとってはやっかいなものなのです。本線を走れないほど失速するから登坂車線を走っている訳で、本来なら登坂後に再加速してから本線に戻りたいところですが、坂の頂点で終わるとそれができないのです。

その結果、本線を走る車両との速度差が大きいまま、場合によっては最低速度を下回る速度で本線へ戻ることを余儀なくされています。これはやむを得ない状況といえるので、最低速度違反での取り締まりの対象とはならないと思いますが、それ以前に危険なことです。登坂車線を作るスペースの問題もあると思いますが、できることなら再加速できるだけの距離が欲しいところです。

このように失速したまま本線に合流せざるを得ない状況はドライバーの責任ではありませんので、普通車のドライバーにはご理解ご協力をお願いしたいところです。

取締

最低速度違反の点数

最低速度違反で検挙されたというのは身近で聞いたことがありませんが、違反点数と反則金は以下の通り。

反則行為点数普通大型二輪
最低速度違反1点6,000円7,000円6,000円

先程述べた通り最低速度違反は大変危険な行為と言えるので、これはちょっと軽いのではないかと思います。

高速道路における低速走行は、事故を誘発し重大事故に繋がります。周囲に及ぼす危険を考えれば、一発で免停にしろと言いませんがもっと重い違反でも良いと考えます。