燃料を間違えて給油したらどうする?

1998年に規制緩和されて以降、ユーザーが自ら給油するセルフ式ガソリンスタンドが増えてきました。

セルフ式が解禁される当時、ガソリンも軽油も消防法で規制される危険物に該当するため、資格のないドライバーが自ら給油することは、事故に繋がるとかいろいろな議論があったように記憶しています。

セルフ式解禁以降、事故はゼロではないかもしれませんが、火災だの爆発だのと大事故になったとは聞いたことがありません。

それより、ありがちなのは燃料の種類を間違えて給油してしまうこと。これに関しては直接の知り合いにはいませんが、噂には良く聞きます。私自身、ディーゼルとガソリン車の2台に乗っているため、間違えそうになったことはあります。

レギュラーとハイオクを間違えら?

これに関しては、大きな問題になることは少ないでしょう。最近のほとんどの国産車はエンジンを制御するECUに、どちらの燃料でも走れるようにプログラムがなされています。

レギュラー車にハイオクを給油すればパワーアップになるかというと、そのようなことはありません。ハイオクガソリンには洗浄剤が含まれているので、エンジン内部の洗浄効果があるかもしれませんが、そんなことより高い燃料を給油したことでの、財布へのダメージが上回ることでしょう。

逆にハイオク車にレギュラーを給油すると、パワーダウンに繋がります。かと言って燃費が良くなるかというとそうでもなく、加速が鈍るなど本来の性能が発揮できないことのストレスが、燃料代の差額を吹き飛ばしかねません。

欧州車にレギュラーガソリンはリスクが伴う

日本では、メルセデス・ベンツやBMWに代表されるドイツ車が、輸入車の代表格です。で、そのドイツ車ですが基本的に全てハイオク指定。

それには理由がありまして、日本と欧州では販売されているガソリンのオクタン価に差があるのです。

レギュラーハイオク
日本91100
欧州95100

日本のレギュラーはオクタン価91ですが、欧州のレギュラーに相当するガソリンのオクタン価は95となっています。これはすなわち欧州車にとっては、オクタン価91のガソリンは想定外ということになります。

オクタン価95以上となると、日本ではハイオクガソリンを指定せざるを得ないことから、ハイオク指定となっている訳です。

国産車はハイオク仕様でも、レギュラーガソリンの使用も想定されていることがほとんどですが、欧州車に関してはそのような話は聞いたことがありません。

レギュラーガソリンを入れても、即故障とはならないでしょうが、使用しない方が無難なのは間違いありません。

ディーゼル車にガソリンを給油すると?

レギュラーとハイオクを間違えても同じガソリン同士ですから、大きなトラブルになることは少ないのですが、ガソリンと軽油を間違えてしまうと大変です。

ディーゼル車にガソリンを給油した場合、始めのうちは動いていても、次第にパワーダウンしアイドリングも不安定になってきます。こうなったときには、燃料ポンプやインジェクターが焼き付いてしまう危険性が急上昇。

なぜ燃料ポンプやインジェクターが焼き付くかというと、ガソリンより軽油の方が潤滑性が高く、燃料ポンプやインジェクターにとってはその潤滑性が重要だからなのです。そしてそれらが焼き付くと、待っているのは高額の修理代。

ディーゼル車は軽油を使用するため燃料代が安いことが特徴ですが、燃料を間違えて高額の修理代が発生すると、そんなもの簡単に吹っ飛びますので要注意。

ガソリン車に軽油を給油すると?

ガソリン車に軽油を入れるとどうなるか?ディーゼル車にガソリンの場合と同じく、パワーダウンからアイドリング不調を起こします。軽油はガソリンほど揮発性が高くないので燃焼室内で不完全燃焼を起こし、それによって生じた煤で点火プラグが汚れ最後はエンジンが停止します。

結論:気をつけるしかない

燃料を間違えて給油してしまったときは、エンジンを始動させずスタンドの店員さんに燃料を抜いて貰うのが良い。それができないときは、整備工場へレッカーするほかありません。

燃料を間違えてそのままエンジンを始動すると、大切な愛車にも財布にも大きなダメージとなります。ユーザーが気をつけるのは当然ですが、給油口と給油ノズルの形を変えるなり、誤給油ができない構造になっていれば理想なのですが。

結局、現状ではドライバーが気をつけるしか手はありませんね。