ディーゼル車は冬期の燃料凍結に注意

給油ノズル

軽油は凍結する

私の愛車 BMW G20 320d はディーゼルエンジン車なので、燃料はもちろん軽油です。ご存じの方も少なくないと思いますが、軽油というのは冬になると凍結します。

凍結と言ってもガチガチの氷みたくなってしまうのではなく、軽油に含まれるワックス分が低温になると分離してしまいシャーベット状に凝固し、燃料フィルターや燃料ラインを詰まらせ、エンジンが始動不能になってしまうのです。

JIS規格が要求する軽油の品質

軽油の規格はJISで定められていて、以下の5種類に分けられます。それぞれ流動点が異なり、地域や季節によって適合した軽油が供給されているのです。

特1号1号2号3号特3号
引火点50℃以上50℃以上50℃以上45℃以上45℃以上
流動点+5℃以下-2.5℃以下-7.5℃以下-20℃以下-30℃以下
目詰り点-1℃以下-5℃以下-12℃以下-19℃以下

※流動点:流動性が保たれる最低温度
※目詰り点:軽油がフィルターを通ることができる目安の温度

軽油使用ガイドライン

地域と季節によって供給される軽油の種類は、日本工業規格が定めたガイドラインが基準になっています。これを見ると、沖縄だけ通年を通して特1号軽油が供給されているようです。

 北海道
(道南除)
道南中部
山岳
東北関東北陸
1月特3号3号3号3号2号2号
2月特3号3号3号3号2号2号
3月特3号3号3号3号2号2号
4月2号2号2号2号1号1号
5月1号1号1号1号1号1号
6月1号1号1号特1号特1号特1号
7月特1号特1号特1号特1号特1号特1号
8月特1号特1号特1号特1号特1号特1号
9月1号1号特1号特1号特1号特1号
10月1号1号1号1号1号1号
11月2号2号2号1号1号1号
12月3号3号3号2号2号1号
 山陰東海近畿山陽四国九州沖縄
1月2号2号2号2号1号2号特1号
2月2号2号2号2号2号2号特1号
3月2号2号2号1号1号1号特1号
4月1号1号1号1号1号1号特1号
5月1号1号1号1号特1号特1号特1号
6月特1号特1号特1号特1号特1号特1号特1号
7月特1号特1号特1号特1号特1号特1号特1号
8月特1号特1号特1号特1号特1号特1号特1号
9月特1号特1号特1号特1号特1号特1号特1号
10月1号1号1号1号特1号特1号特1号
11月1号1号1号1号1号1号特1号
12月1号1号2号2号1号1号特1号

日本工業規格ではガイドラインの号数、もしくはそれ以上に流動性の良いものを使用することを推奨しています。これを見ると3号以上の軽油は、いわゆる寒冷地仕様と位置付けられていると言えるでしょう。

寒冷地へのドライブはタンク残量に注意

雪景色

現地での給油が基本

私の住む関東地方でも冬期(12月頃~3月頃)は、2号軽油が販売されています。関東地方では、流動点(※)が -7.5℃以下であれば全然問題ないのですが、このまま寒冷地へ行くと燃料凍結の危険が高まります。

そのため昔は燃料は現地で給油しろと言われたものです。近年、ディーゼル車が再び脚光を浴びるようになってきましたが、それでも乗用車の燃料はガソリンが主力。そのため、ディーゼル車に乗ったことのないドライバーからすると、燃料凍結など考えたことがなくても無理のないこと。

ちなみに関東地方でも高速道路上のSA/PAでは、冬期は一部3号軽油が販売されています。高速道路で給油する車は、遠方まで行く可能性が高いということで行われている処置ではないでしょうか。

このように軽油に寒冷地仕様があるなんて、実際にディーゼル車を購入しディーラーから注意されるまで、知らなかったというユーザーも珍しくありません。

フェリーでの移動は要注意

高速道路などを利用して寒冷地まで自走する場合は、それなりに燃料を消費します。目的地に到着してから給油すれば、問題が発生することは少ないのですが、気をつけないとならないのがフェリーでの移動。

フェリーでの移動中は燃料を消費しないのですから、予め燃料を少なくしておき下船した後に現地で給油する必要があります。寒冷地以外では真冬でも流動点が-7.5℃の2号軽油が販売されているので、それを満タンで北海道に行った日には、燃料が凍結して酷い目にあうことでしょう。

ガソリンは凍結しないのか?

日本国内で最低気温は、明治35年(1902年)1月25日に北海道上川観測所(現在の旭川地方気象台)で記録された氷点下41.0℃です。日本国内で供給されているガソリンは-50℃でも凍結しないので、心配する必要はありません。